お知らせ
タバコの使用と口腔微生物の関係
喫煙習慣は歯周病、う蝕共に最大のリスクファクターであることは以前より実感するところでありますが喫煙が細菌に対しどのうような影響を及ぼしているのかエビデンスがない中、日本口腔衛生学会禁煙推進委員会よりタバコ使用による口腔微生物の影響に関する研究レビューが発表されました。以下にそのポイントを列挙します。
- 無煙タバコからの抽出成分を生体外でS.mutansに曝露した結果、スクロースを添加した場合にS.mutansの成長を促進した
- 喫煙者の唾液中のLactobacilli菌数は非喫煙者と比べて多かった
- 受動喫煙のある子どもの唾液にはS.mutans菌数が多かった
- ニコチン処理により歯垢中のS.mutans菌数は増加し歯垢の厚みが増し緻密になり乳酸濃度は2倍になるなどニコチン曝露によりう蝕病原性が増加
- タバコの煙中のカドミウムが歯のカルシウムと結びつき、凹みをつくり細菌が残存しやすくなる
- タバコの煙中の鉛は唾液をつくる細胞を傷害しやすく、その結果唾液量が減り再石灰化が起きにくい
- 母親が喫煙している子の歯は早期に萌出し、感染機会が早まることが示唆されている
- インプラントの材料であるチタンへのニコチンの曝露は、チタン表面を粗造にしチタンに付着するS.sanguinis菌数を増加させる
- タバコ煙抽出成分の存在下で矯正治療装置へのS.mutansの付着率が増加
- 喫煙は子宮頸がんのリスク因子であるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を促しHPVゲノムの増幅に関与して口腔がん発生リスク上昇につながる可能性がある
- ニコチンは病原性バイオフィルム(歯垢)形成を促進し、そのタバコ成分により歯周病に対して高病原性であるP.gingivalisを含む病原性歯垢の形成を促進する
- 喫煙者は非喫煙者に比べ歯周治療後の細菌プロファイルの改善が小さい
残念ながら、やはり喫煙は百害のオンパレードですね