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GENERAL

天然歯を残すことを重視した歯科治療

「天然歯をできる限り残すこと」を大切にする当院では、虫歯治療においてもただ削ったり抜いたりするのではなく、一本一本の歯を丁寧に診断します。抜歯や削る判断は医院ごとに異なりますが、当院では「残せる歯」「残すべき歯」を見極め、天然歯をできるだけ守りたいと思っております。一度失った歯は二度と戻らないため、確かな判断と技術で患者様の大切な歯を守り、いつまでも健康な歯でいられるようにサポートいたします。

診査・診断こそ歯科治療のすべて

当院では、診査・診断こそ歯科治療のすべてと考えております。
まずは問診です。患者様のお身体の健康状態を把握し、痛みなどの症状について詳しくお聞きします。安易な治療にならないよういろいろな角度からのアプローチが必要です。
そのため当院ではマイクロスコープ(最大拡大率24倍)を、保険治療・自費治療の区別なく用いて慎重で正確な診断をおこなっています。
ひとつの例として、歯が割れている場合、その歯は保存が難しいのですが、実際のところ歯の表面のひびは肉眼ではわからないことが多く、マイクロスコープなしには診断が極めて困難です。マイクロスコープを使えば無駄な治療がはぶけ、より正確な治療が可能になります。

当院では今、患者様に必要な治療は何か、を常に考えた治療を心がけています。

統計結果から見た虫歯の現状

歯科の2大疾患であるう蝕(虫歯)の実態はどうなのか、文部科学省より発表された平成22年度学校保健統計調査結果から子ども達のう蝕(虫歯)の現状を時代の推移と共に見てみましょう
ここでは理解しやすいようう蝕(虫歯)の無い者の割合を表示いたします。

ご覧のように幼稚園~高等学校まで一貫してこの30年の間に急激な減少傾向を認めます。
30年前はう蝕(虫歯)の全く無い者の割合が約15人に1人であったのが今や約2人に1人はう蝕(虫歯)が無いのが現状のようです。しかし臨床の現場ではと言うと…

年齢に関係なく深刻なう蝕(虫歯)に悩まされている患者様も残念ながらいらっしゃいます。患者様個々に口腔内環境・生活環境・生活習慣・健康意識は様々です。
今やう蝕(虫歯)治療ですらオーダーメイドな対応が求められていると言えるのではないでしょうか。

レーザー治療の導入

レーザー治療は、レーザー光を用いて歯や歯ぐき、口腔内の組織を治療する方法です。虫歯や歯周病、口内炎の治療まで、幅広い用途で使用が可能となっています。精密な処置ができ、従来の器具に比べて患者様への負担も軽減されるのが特徴です。
メリットとしては、麻酔が最小限で済み、振動や音が少ないため、恐怖感を和らげます。また組織を瞬時に凝固させるため、出血を最小限に抑え、治癒が早い傾向にあります。

削る虫歯、削らない虫歯について

歯科治療の代名詞でもある虫歯。虫歯にも初期の虫歯~進行した虫歯とその臨床像は様々です。従来からの“疑わしきは削る”虫歯治療も今、その削る削らない基準がより明確になってきております。何の根拠もなく削った歯は二度と戻りません。
その基準を日本保存学会発行のう蝕治療ガイドラインを元に確認してみましょう。

削る対象となる虫歯の条件5項目

  • 歯面を清掃乾燥した状態で肉眼あるいは拡大鏡でう窩を認める
  • 食片圧入や冷水痛などの自覚症状がある
  • 審美障害の訴えがある
  • X-線写真で象牙質層の1/3を超える病変を認める
  • 虫歯リスクが高い

※出典:日本保存学会発行のう蝕治療ガイドライン(2015年6月改訂)

特に複数認められる場合には直ちに処置を行うことが望ましいとしております。
特に5番目の項目、虫歯リスクが高い=虫歯になり易い患者様 とはどのような方なのか見てみましょう。 該当する方は要注意です。

虫歯を引き起こしやすい要素

  • 要素01

    全身的既往歴

    糖衣錠の服用、口腔乾燥症を引き起こす薬物の服用、頭頚部腫瘍の放射線治療、シェーグレン症候群、身体障害

  • 要素02

    歯科的既往

    多数の修復歯の存在、頻回な再修復、一度に多数歯に及ぶ修復処置

  • 要素03

    口腔衛生状態

    少ない歯口清掃回数、フッ化物を含まない歯磨剤の使用、矯正装置や義歯の装着

  • 要素04

    食事

    頻回な甘いお菓子や飲み物の摂取

  • 要素05

    フッ化物

    フッ化物の不使用、歯磨きの未実施

  • 要素06

    唾液

    唾液分泌量の低下

  • 要素07

    社会生活

    貧困、低い教育レベル、非雇用者、水道水のフッ化物濃度の未調整

虫歯リスクの高い患者様臨床例

次に初期の虫歯(エナメル質の虫歯)、それより進行した象牙質の虫歯、そして特に高齢の患者様に多い根面虫歯と虫歯別にその対応を見てみましょう。

エナメル質虫歯への対応

審美障害さえなければエナメル質に限局した虫歯は直ちに削る対象ではないことは先に記しましたが、ではエナメル質虫歯にはどのような対応が必要なのでしょう。答えはずばりフッ化物塗布です。では、そのフッ化物塗布効果はどの程度有効なのでしょうか?
虫歯リスクの高い子ども(9~16歳)239人を対象に行ったRCT(無作為化比較対照試験)によればエナメル質虫歯にフッ化物(12300ppmF)を年2回4分間塗布した結果、80%の虫歯に進行が止まったと報告されその有効性を日本保存学会発行う蝕治療ガイドラインでも強く推奨しております。

口腔清掃状況におけるフッ化物塗布の有効性

また、別の試験からそのフッ化物効果は口腔清掃不十分な集団では有効でしたが口腔清掃が良好な集団ではフッ化物塗布の有効性は示されなかった点は注目すべき事です。
従って、エナメル虫歯への対応は口腔清掃を基本に定期的なフッ化物塗布、特に患者様ご自身でのブラッシングが不十分なお子様、高齢患者様、障害をお持ちの患者様に有効であると考えます。

象牙質虫歯への対応

象牙質に虫歯が及ぶと審美障害、知覚障害、痛みを訴えることが多くなります。従って削って充填する虫歯の比率も徐々に増えてきますが先に記したようにX-線写真で象牙質層1/3以内の虫歯はそれだけを理由に直ちに削る必要はありません。
しかし治療のタイミングを逸すると神経を取るにいたる虫歯に進行してしまう恐れもあります。そこで重要になるのが診査、診断です。
虫歯の診査・診断は虫歯の検出、虫歯の深さ、虫歯の活動性の判断がポイントとなります。ではその各診査法の有効性について見てみましょう。

診査法と感度・特異度

ここでは診査方法の精度を感度、特異度の値で比較してみます。(残念ながら日本では電気抵抗診断装置は製造中止)

診査法 感度 特異度
視診 0.03~0.95 0.41~1.0
視診/触診 0.03~0.95 0.41~1.0
視診/X-線診査 0.49~0.86 0.64~0.87
X-線診査 0.12~1.0 0.5~1.0
電気抵抗 0.61~0.92 0.74~1.0
FOTI(光ファイバー透照診査) 0.04~0.74 0.85~1.0
レーザー蛍光法 0.42~0.84 0.87~1.0

※感度(sensitivity):検査の感度が高いと病気の見逃しは減りますが誤って病気と判断することが増えます。
※特異度(specificity):検査の特異度が高いと誤って病気と判断することは減りますが病気を見逃してしまうことが増えます。

診査は感度、特異度共に高いのが理想ですがご覧のように有効な診査方法は一つではなく状況に応じ様々な診査法を併用した診査を行い診断します。

隠れ虫歯の症例

診断名 Hidden caries(隠れ虫歯)
治療内容 手指、レーザーを用いて虫歯を除去し、レジンや金属で詰める治療です
治療期間・回数 ほとんどの症例は1~2回で対応可能です
治療費用 詰める素材によりますが、保険治療での対応も可能です
治療のデメリット 削るタイミングの判断が難しい症例もあります

根面虫歯への対応

歯の根面は歯冠部に比べ無機質の含有量が少ない為酸に対する抵抗力が低く短期間のうちに根面全周を取り巻く虫歯に拡大することも珍しくありません。特に高齢の患者様は要注意です。日本の60~78歳の高齢者287人を対象とした疫学調査で根面虫歯の発症率は53.3%と深刻な状況です。
エナメル質、象牙質虫歯に比べ進行が早い根面虫歯は臨床上何らかの治療介入を要する症例が多いのが現実ですが予防効果はどの程度期待できるのでしょう?1400ppmFのフッ化物配合歯磨剤(日本のフッ化物イオン濃度は最高でも950ppm程度)と250ppmFのフッ化物配合洗口剤の併用の効果を検討したランダム化比較試験では洗口剤を併用した場合で有意に再石灰化効果が高く1年後、進行虫歯の67%に進行停止を認めたと報告しております。

根面虫歯におけるフッ化物応用の効果

しかし、削らずフッ化物応用し進行停止が期待出来る根面虫歯は今のところ深さ0.5mm未満に限定されています。従って根面虫歯の進行停止が維持できているか厳重な定期観察が必須となります。
以上、現在の虫歯治療の診断・対応について述べましたが “疑わしきは削る” のではなく初期虫歯を早期に発見、診断し削る虫歯に発展しないよう早期管理することが今の虫歯治療の基本的なコンセプトです。その為には患者様ご本人のコンプライアンス(実効性)によって虫歯治療は大きく左右されます。共に協力し合い削らない虫歯治療を目指していきませんか?

神経を取った歯の予後について

痛みなどの症状を伴った虫歯、患者様からすれば痛みから早く開放されたいのは山々ですが、その歯の一生を考えると安易に神経は取るべきでない事が分かります。右のグラフは2005年、8020推進財団が発表したある一定期間全国2001歯科診療所で抜歯された歯の神経の有無を表したものです。ご覧のように神経の無い歯が60%を占めております。
また、残念ながら神経を取った歯の予後も国内外の報告によれば約10~30%の確率で予後不良と報告されております。多くの患者様から“神経取ったのに痛むのは何故?”とよく質問されます。その多くは虫歯の再発による歯の内部に広がった感染が原因です。神経が無くても歯は溶け虫歯になります。しかし神経が無いが故に歯の根の周囲に感染が広がるまで無症状に経過してしまうのです。

神経を取った歯の中に細菌が広がってしまった症例

診断名 根尖性歯周組織炎
治療内容 歯の中を徹底的に消毒し、細菌数を減らす治療です
治療期間・回数 前歯・奥歯により異なりますが、概ね1ケ月程度
治療費用 保険治療も可能ですが、難治症例は専門医に依頼、その場合は自費治療となります
治療のデメリット 歯が破折する可能性が高まります

またしても残念なことですが、歯の根の再治療の予後も約30%の確率で予後不良と言われております。しかし、将来的には様々な機器、薬、専門医との連携によりその成績も向上していくでしょう。
神経を取った歯は痛みを感じない為大きく破折、割れるまで患者様は気づきません。大きく破折、割れた歯は抜歯に直結しますので神経を取った経験のある方は定期検診にてチェックされる事をお勧めいたします。

神経を取った歯の予後について

摂食、嚥下、会話、など口腔を健康に保つ為に必要不可欠な“唾液”、実は唾液には多くの機能があります(下記参照)。

  • 液体/潤滑作用
  • イオン貯蔵作用
  • 緩衝作用
  • 浄化作用
  • 抗菌作用
  • 凝集作用
  • ペリクル形成
  • 消化
  • 味覚
  • 排泄
  • 水分バランス

特に虫歯予防にとって唾液の作用は大変重要です。そこで唾液の何が重要で虫歯予防に効果的な利用方法がないか見てみましょう。 まず最も基本である食後の歯垢pHの変化を理解しましょう。

食後歯垢pHは数分以内に5.0以下に低下、エナメル質虫歯は約5.5の臨界pH以下で起きます。その後約15~20分に渡って臨界pH以下に留まり約40分後に正常値に戻ります。食事時間、食事回数の違いなどこのグラフの形状は個人によって異なる事が重要なポイントです。
当然歯垢pHの回復速度が遅ければ遅いほど歯の溶ける時間は長くなり虫歯はより深刻となります。このpHの回復速度を大きく左右するのが唾液です。具体的には、唾液の緩衝能、尿素含量、唾液への接触程度や唾液フィルムの流速、唾液の分泌速度が重要なポイントになります。

唾液の分泌速度と組成に影響を及ぼす要因

まず唾液分泌には味覚物質または咀嚼などの外因性の刺激がない状態での分泌される安静時唾液と外的刺激により分泌される刺激時唾液の2種類があります。

安静時唾液

安静時唾液分泌速度は平均0.3~0.4ml/分と報告されており正常範囲はかなり幅広く、0.1ml/分以下の唾液分泌速度はドライマウスの客観的証拠とみなされます。しかし、唾液分泌速度が速いか遅いかはさほど重要ではなく、それよりも特定の個人において速度が悪い方に変化したかどうかが重要です。医師が定期的に血圧を測定するように唾液分泌も定期的に測定しましょう。では、どのような要因が唾液分泌速度に影響を及ぼしているのでしょうか。

分泌速度に影響を及ぼす重要な要因

  • 水分量
    体内水分量の減少で速度は落ち水分過多は速度を増加させる
  • 採取時の体位
    座位より立位の方が速度増加、横になると速度は落ちる
  • 光の存在
    暗闇だと分泌は30~40%低下する
  • 採取前の刺激
  • 日内リズム
    分泌速度は夕刻にピークに達し睡眠中はほぼ停止
  • 年内リズム
    耳下腺唾液分泌速度は冬にピーク、夏は速度が35%低下した研究有

分泌速度に影響を及ぼす小さな要因

  • 性別
    女性は男性より速度が遅い
  • 年齢(15歳以上)
  • 体重
  • 唾液腺の大きさ
  • 精神的影響、食物の連想や視覚
  • 機能的な刺激

刺激時唾液

刺激時唾液は咀嚼や味覚による刺激、あるいはその他の刺激、特定の薬物や嘔吐中枢の活動などに反応して分泌される。分泌速度は平均1.5~2.0ml/分ですが大きな個人差がみられます。その分泌速度に影響を及ぼす要因を見てみましょう。

分泌速度に影響を及ぼす要因

  • 機械的刺激
    味がなくても咀嚼自体が唾液分泌を刺激する
  • 味覚刺激
    酸味は強力な刺激を有し、アルカリ性の唾液産生
  • 薬物刺激
  • 食物摂取
    味や甘味料が消失したチューインガムでも噛むだけで安静時唾液分泌速度の2~3倍の速度
  • 腺の大きさ
    分泌速度は大きさに比例する
  • 片側刺激
  • 嘔吐
    嘔吐直前、嘔吐中に唾液分泌増加
  • 嗅覚
    味覚刺激と比べて唾液分泌に対する影響は小さい
  • 喫煙
    味覚刺激と比べて唾液分泌に対する影響は小さい
  • 催吐反射

口腔の健康のためには安静時唾液の分泌速度は刺激時唾液の分泌速度よりも重要です。刺激時唾液は定期的に刺激されれば高齢者でも分泌能力は高められる可能性がります。また安静時、刺激時唾液共に唾液分泌速度が速くなればなるほど、より速く炭水化物は取り除かれます。

唾液の組成について

次に唾液の組成に影響を及ぼす要因を見てみましょう。

  • 人種
  • 腺の種類
  • 分泌速度
  • 刺激時間
  • 事前の刺激
  • 生物学的リズム
  • 刺激の性格
  • 血漿成分
  • ホルモン
  • 妊娠
  • 疾患
  • 薬物
  • 運動
  • 遺伝的要因
  • 抗原的刺激

※安静時の全唾液量に占める各唾液腺からの分泌割合は、耳下腺が25%,顎下腺が60%,舌下腺が7~8%,小唾液腺が7~8%、刺激時唾液の分泌速度が非常に速い場合においては耳下腺が全唾液中の約50%を占める。

※分泌速度が増すとpHが上昇するとともにある種の成分濃度(タンパク質・Na・塩化物・重炭酸塩)が高くなる一方低くなるもの(Mg・リン酸塩)もある。 唾液中のフッ化物濃度は約0.019ppmで唾液分泌速度とは無関係であるが安静時で分泌速度が遅い場合わずかに濃度は高くなる。

※唾液分泌速度が一定に保たれている時、唾液の組成は刺激の持続時間によって異なる。従って2分間一定の唾液分泌速度で採取された唾液は10~15分間一定の唾液分泌速度で採取された唾液とは異なる組成を示す。

唾液への接触程度、唾液フィルムの流速

唾液フィルムの特異性

一見液体のような唾液も口腔内では菲薄なフィルムとして存在し歯牙、粘膜を覆っています。ここ最近の研究では唾液フィルムの厚さには部位特異性がありその厚みも10~70μmと幅があり、また安静時の場合唾液フィルムは口腔内のそれぞれの部位で異なる速度で移動すると推定されています。
その移動速度が速くなればなるほど最初のショ糖の濃度は低くなりクリアランス(浄化作用)の速度も速くなり酸がほとんど産生されない一方、移動速度の遅い部位は酸がプラーク中からなかなか除去されないためより虫歯になりやすいと言えます。このクリアランス速度の速い部位遅い部位があることを知っておきましょう。

唾液分泌の歯科的コントロールの難しさ

一見液体のような唾液も口腔内では菲薄なフィルムとして存在し歯牙、粘膜を覆っています。ここ最近の研究では唾液フィルムの厚さには部位特異性がありその厚みも10~70μmと幅があり、また安静時の場合唾液フィルムは口腔内のそれぞれの部位で異なる速度で移動すると推定されています。
その移動速度が速くなればなるほど最初のショ糖の濃度は低くなりクリアランス(浄化作用)の速度も速くなり酸がほとんど産生されない一方、移動速度の遅い部位は酸がプラーク中からなかなか除去されないためより虫歯になりやすいと言えます。このクリアランス速度の速い部位遅い部位があることを知っておきましょう。

局所麻酔について

一般的に、歯科治療で使用されてる麻酔薬には防腐剤や血管を収縮させる薬が添加されています。そのため、高血圧・心不全・糖尿病の方、防腐剤アレルギーの方などにはこのような麻酔薬は使用できません。
また、お子様では歯科で初めて麻酔される方が多く、その投与にはとても慎重になります。
そこで当院では、常時3種類の麻酔薬を用意し、その成分の内容により患者様と治療内容に合った麻酔薬をお選びし、安心して治療をお受けいただけるようにしています。
患者様からの問診も大切です。ご不安な点は遠慮なくお申し出ください。

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抗血栓療法患者様の抜歯に関するガイドライン

日々の臨床現場で頻繁に遭遇する抗血栓療法を受けている患者様(いわゆる血液サラサラの薬を服用している患者様)は増加傾向にあり抗凝固薬を服用している患者数は100万人、抗血小板薬を服用している患者数は600万人と推定されております。 このような患者数の増加に伴い一般開業歯科医院でも抗血栓療法患者様への対応が必要になってきております。特に抜歯等の観血処置に際しては十分な配慮が必要です。

では具体的にそのような患者様への対応に際しどのような注意が必要なのか2015年3月に上梓された学会主導のガイドラインを通して確認してみましょう。

唾液への接触程度、唾液フィルムの流速

抗血小板療法

適応 動脈血栓予防
対象疾患 心筋梗塞、狭心症、脳梗塞(心原性を除く)、末梢動脈血栓症
主な経口抗血栓薬(製品名) アスピリン(バイアスピリン、バファリン81) 塩酸チクロピジン(パナルジン、チクロピン) 硫酸クロピドグレル(プラビックス) ジピリダモール(ペルサンチン、アンギナール) シロスタゾール(プレタール) イコサペント酸エチル(エパデール) 塩酸サルポグレラート(アンプラーグ) トラピジル(ロコルナール) ベラプロストナトリウム(ドルナー、プロサイリン) リマプロストアルファデクス(オパルモン、プロレナール)

抗凝固療法

適応 静脈血栓予防
対象疾患 深部静脈血栓症、心房細動、心原性脳塞栓症、肺血栓塞栓症
主な経口抗血栓薬(製品名) ワルファリンカリウム(ワーファリン) 直接トロンビン阻害剤(プラザキサ) 選択的直接作用型第Xa因子阻害剤 リバーロキサバン(イグザレルト) アピキサバン(エリキュース) エドキサバントシル酸水和物(リクシアナ)

血栓溶解療法

適応 血栓の早期の溶解
対象疾患 一部の急性心筋梗塞、脳梗塞、肺血栓塞栓症
主な経口抗血栓薬(製品名) t-PA剤(組織型プラスミノーゲンアクチベーター) ウロキナーゼ

抗血栓療法継続下での抜歯について

本ガイドラインによると原疾患がコントロールされ抗血栓療法が適切に施行されている患者様においては適切な止血処置を行えば抗血栓療法継続下に抜歯を行っても重篤な出血性合併症は起こらないと結論づけております。逆に抜歯に際しワーファリンを中断すると致死的な血栓塞栓症疾患が高い確率(1%)で引き起こされ、抗血小板薬中断による脳梗塞発症リスクは3.4倍に上昇することが記載されております。

2011年より使用可能となったワーファリン以外の新規経口抗凝固薬(NOACs)服用患者様は最高血中濃度時を避け服用6時間以降、可能であれば12時間以降に抜歯を行うことを推奨しております。ワーファリン服用患者様は原疾患が安定し、少なくとも抜歯72時間前、可能であれば抜歯当日にINR値が3以下にコントロールされているか確認の上抜歯されることを推奨しております。

NOACsとP糖蛋白阻害薬(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、イトラコナゾール、ジルチアゼム)との併用は抜歯後の出血性合併症を発症する可能性があるため注意が必要であり、また複数の抗血小板薬、抗凝固薬と抗血小板薬併用患者様の抜歯についても薬剤を継続して抜歯を行い十分な局所止血を行うよう推奨しております。
以上より原疾患の発症を引き起こさないよう自己判断で休薬せず継続服用下で治療に臨みましょう。

顎骨壊死に関する基礎知識

2016年7月、6学会が合同して作成した顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016が公開されました。 主に一部の骨粗鬆症、悪性腫瘍患者様が服用されておりますビスフォスフォネート製剤、また近年日本で認可されたヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤がその対象となっております。当院でも多くの患者様が服用されております骨粗鬆症治療薬による顎骨壊死の現状をみてみましょう。
まず最初にどのような骨粗鬆症治療薬で顎骨壊死が起こるのか、下記の一覧表をご覧ください。

薬剤 顎骨壊死 一般名
ビスフォスフォネート(BP)製剤 エチドロネート、アレンドロネートなど
ヒト型抗RANKLモノクローナル製剤 デノスマブ
女性ホルモン薬 × エストリオール、エストラジオールなど
活性型ビタミンD3薬 × アルファカルシトール、カルシトリオールなど
選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM) × ラロキシフェン、バゼドキシフェン
カルシトニン薬 × エルカトニン、サケカルシトニン
副甲状腺ホルモン(PTH)薬 × テリパラチド、テリパラチド酢酸塩

1.顎骨壊死は全ての骨粗鬆症治療薬で起こるわけではない

ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)

一般名 製品名
エチドロネート ダイドロネル
アレンドロメート フォサマック、ボナロン
イバンドロネート ボンビバ
リセドロネート アクトネル、ベネット
ゾレドロネート ゾメタ、リクラスト、ゾレドロン酸
ミノドロネート ボノテオ、リカルボン

ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤

一般名 製品名
デノスマブ プラリア、ランマーク

顎骨壊死は先ほど示した薬を服用すると必ず発症するとは限りませんがその発生頻度はどのくらいでしょう。

薬剤 有病率 罹患率
骨粗鬆症患者 経口BP製剤 注射BP製剤 デノスマブ 0~0.04%(大部分は0.001%以下) 0~0.348%(大部分は0.005%以下) 1.04~69人/10万人年 0~90人/10万人年 0~30.2人/10万人年
悪性腫瘍患者 注射BP製剤 デノスマブ 0~0.186% 0~12.222人/10万人年 0~2.316人/10万人年

有病率:ある時点において顎骨壊死を有している患者の割合
罹患率:ある集団において1年における顎骨壊死の発症頻度

※約5年の間に顎骨壊死患者の絶対数は20倍近くに増加しており、発生頻度が低くても絶対数が増加していることから今後も十分な注意が必要

2. BP製剤、デノスマブを服用したからといって必ず顎骨壊死を発症するわけではない

顎骨壊死のリスクファクターに変更点が認められました。

項目 具体的内容
局所性 骨への侵襲的歯科治療(抜歯、インプラント、歯周外科手術など) 不適合義歯、過大な咬合力、口腔衛生状態の不良、歯周病 好発部位:下顎>上顎
骨吸収抑制剤 窒素含有BP>窒素非含有BP、デノスマブ、悪性腫瘍用製剤 >骨粗鬆症用製剤投与量および投与期間
全身性 がん:(乳がん、前立腺がん、肺がん、腎がん、大腸がん、多発性骨髄腫、など) 糖尿病、関節リウマチ、低Ca血症、副甲状腺機能低下症、骨軟化症、 ビタミンD欠乏症、腎析、貧血
先天性 MMP-2遺伝子、チトクロームP450-2C遺伝子などのSNP
ライフスタイル 喫煙、飲酒、肥満
併用薬 抗がん剤、副腎皮質ステロイド、エリスロポエチン、血管新阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤

歯科治療をする上でBP製剤の服用期間3年が休薬の有無の分岐点でしたがポジションペーパー2016よりそのルールが消滅しました。悪性腫瘍患者様にも使用される薬剤なので整形外科、内科との連携で休薬は慎重にすべきである。

3.薬の服用期間が休薬する理由にならない

顎骨壊死のリスクを恐れて抜歯等の処置を放置しておくと、かえって骨髄内に感染と炎症が波及し顎骨壊死を惹起する原因となる可能性があるため顎骨壊死のリスクを抱えつつも十分な説明を行ってから処置すべきである。

4.抜歯等外科処置は禁忌ではない

アメリカ口腔顎顔面外科学会が出版した顎骨壊死ポジションペーパーによれば経口BP製剤の服用歴が4年未満で臨床的リスクがなければインプラント治療を含むあらゆる歯科治療は可能と報告してる反面、経口BP製剤服用患者(服用歴4年未満)でステロイド製剤併用患者、もしくは併用の有無にかかわらず経口BP製剤を4年以上服用している患者の侵襲的歯科治療は慎重にとの報告もある。
(但し、日本のポジションペーパーには上記のような記載はないが日本口腔インプラント学会による治療指針2016によれば経口BP製剤とステロイド製剤併用患者はインプラント治療は禁忌)

5.経口BP製剤の服用歴が4年未満で臨床的リスクがない場合

経口BP製剤の服用歴が4年未満で臨床的リスクがなければ、あらゆる歯科治療は可能です。しかしその反面、ステロイド製剤併用患者、もしくは経口BP製剤4年以上服用患者の侵襲的歯科治療は慎重になる必要があります。
顎骨壊死のリスクを恐れて抜歯等の処置を放置しておくと、かえって骨髄内に感染と炎症が波及し顎骨壊死を惹起する原因となる可能性があるため顎骨壊死のリスクを抱えつつも十分な説明を行ってから処置すべきである。

6.注射BP製剤使用患者の侵襲的歯科治療は禁忌

以上記載したように情報はあるものの服薬期間による対応など国際的なコンセンサスは得られてないのが現状のようです。
従ってBP製剤、デノスマブ服用患者様の侵襲的歯科治療に関しては十分な医師、歯科医師との連携が重要なポイントとなります。

口腔顔面痛について

患者様にとって最も辛い症状である“痛み…”、その痛みにもいくつかの種類があることご存知でしょうか。患者様の訴えが歯痛であるにも関わらずその原因が実は歯ではない、神経取ったのに抜歯したのに痛みが消えない…そんな事も珍しくはありません。
実際当院でもほぼ毎月このような症状を主訴に患者様が来院されております。1990年代アメリカで発達し日本では比較的馴染みの薄い口腔顔面痛学を通してその痛みの原因を探ってみましょう。

痛みの種類について

人間が感じる“痛み”は大きく分けて“体の痛み”と“脳の中でおこる痛み”の2種類に分類されます。

  • 体の痛み

    • 体が傷ついておこる痛み(侵害受容性疼痛)
    • 神経そのものが傷ついておこる痛み
    • (神経因性疼痛、いわゆる神経痛)
    • 発作性神経痛
    • 持続性神経痛
  • 脳の中でおこる痛み

    • 脳の中の痛みをコントロールするシステムの異常でおこる痛み
      (心因性疼痛、慢性疼痛、突発性疼痛、精神疾患の身体化による痛み)

    特に脳の中でおこる痛みはMRI,CT検査、血液検査をしても検出できません。また、2種類の痛みは全く別ものではなく互いに関連し合って痛みを構成しています。

  • 体が傷ついておこる痛み(侵害受容性疼痛)

    やけどや切り傷、ねんざによる炎症など、物理的・化学的に体が傷つくことによっておこる最も一般的な痛みです。
    この痛みの経路は、皮膚や粘膜に加わった刺激が電気信号に変換、電気信号は→1本目の末梢神経を通り→脊髄(頚髄)まで運ばれ→1本目の神経は2本目の神経にバトンタッチ→2本目の神経が電気信号を脳の視床まで運ぶ→3本目の神経にバトンタッチ→電気信号は大脳皮質に届けられ痛みを感じとっています。(図1 参照)

  • 神経が傷ついておこる痛み(神経因性疼痛)

    いわゆる”神経痛”と呼ばれるこの痛みは痛みの電気信号をリレーする神経そのものが傷ついておこる痛みです。神経が傷つくきっかけとしては、血管や腫瘍による神経の圧迫、怪我による神経切断、帯状疱疹ウイルスなどによる神経破壊などです。

脳の中でおこる痛み(心因性疼痛)

脳の中の痛みをコントロールしたり認知したりするシステムに変調がおこって脳の中で痛みが増幅されたり勝手につくりだされることによる痛みです。分かりやすく言うならば傷もなく神経も傷ついてないにも関わらず感じる痛みと言えます。
このシステムと痛みの感じ方に影響する要因を大きく3つにまとめてみましょう。

痛みの要因1
脳から脊髄にかけて存在する痛みの刺激を弱めるシステム(下降性疼痛抑制系)の異常、反対に脳幹(延髄・橋・中脳)にある網様体が活発に活動すると痛みは増幅される(図1参照)
痛みの要因2
脳は痛みを痛みの強さや部位を判断認知する感覚的側面(大脳皮質体性感覚野が担っている)と痛みを様々な感情(不安や怒り)として感じる情動的側面(大脳辺縁系が担っている)の2つの面から判断します。
この2つは互いに影響を与え合いながら総合的に痛みを判断していますがストレスや脳に記憶された過去の痛み、ネガティブな感情などで情動的側面が一方的に優ると痛みの原因がないのに脳が勝手に痛みを感じてしまいます。
痛みの要因3
人間の脳には神経伝達物質であるセロトニン系、ノルアドレナリン系、ドーパミン系の3つの大きな神経ネットワークがありますが中でもセロトニン、ノルアドレナリン系の神経ネットワークは網様体、下降性疼痛抑制系、大脳皮質体性感覚野、大脳辺縁系に深く関わって感情や痛みの調節をつかさどっています。そのネットワークがうまく働かないとうつ病のような状態になったり原因がないのに体のどこかに痛みが起きたりします。

特にここでお伝えしたいのは最後に記した心因性疼痛についてです。様々なストレス(自分が経験した範囲では会社の倒産、育児、介護、引っ越しによる環境変化…..など)が引き金となり情動的側面が優位になると歯が原因でないにも関わらず痛みを感じる事です。病名は非定型歯痛(atypical odontalgia)、非定型顔面痛と呼ばれ男女比では1対9と圧倒的に女性の割合が高く子どもを除いてどの年齢層にも起こりえますが40~60代の女性に多いと報告されております。

またその他臨床でよく遭遇する歯を原因としない痛みに筋筋膜痛があります。顔や肩の筋肉が慢性的に疲労すると筋肉中にトリガーポイント(下図参照)と呼ばれるしこりができ、ここから痛みが放散して歯、顎の痛みとして感じられる事があります。筋肉痛からくる歯痛です。痛みの原因になるポイントから離れた部位にも痛みを起こさせる点(関連痛)が特徴です。歯の神経と顔、肩の筋肉の神経が頚髄の中で1つに束ねられているため混線が起こりやすく関連痛が起こりやすいと考えられております。

咬筋のトリガーポイント

側頭筋のトリガーポイント

紙面の都合上ごく一部の情報ですが虫歯、歯周病の治療が済んだのに…抜歯したのに…痛みが消えない、または歯以外の場所に同じ痛み、違和感を6ケ月以上抱えてる患者様は原因が歯以外であるかもしれませんので遠慮なくご相談下さい。詳しくはリンク先の「口腔顔面部の痛みの診断と治療」を参照下さい。

口と顔の痛み.info

病診連携

一般的な治療方法では対応不可能なごく一部の難症例には様々な分野のスペシャリストドクター(専門医)と連携をとりながら患者様のご要望にお答え出来るよう取り組んでおります。

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定期検診

歯の治療も一度終わればそれでよし、ということはありません。再治療がないように確実な治療を心がけていますが、何より予防が大切です。当院ではおハガキにより定期検診のお知らせをさせていただいています。患者様のお口の中の状況により、3ヶ月から1年に1度を目安にしています。

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